抗がん剤

世界でベストセラーの抗がん剤リツキシマブ(リツキサン)

リツキシマブ(リツキサン)とは、抗がん剤・免疫抑制剤として使用されている分子標的治療薬の1つです。

リツキシマブ(リツキサン)は、抗ヒトCD20ヒト・マウスキメラ抗体からなるモノクローナル抗体で、リツキサンは商品名であり、日本では全薬工業および中外製薬から発売されています。

リツキシマブは2011年、世界でベストセラー(金額ベース)の抗がん剤となっていますが、これには世界各国での治療適応疾患の拡大や、薬剤価格が高価であるという背景があります。日本でも1瓶(500mg/50ml)あたりの保険適応前の薬価が、約21万円(2008年薬価改正時点)と高額に設定されています。

このような状況もあり、リツキシマブの2015年の全世界売上高は全医薬品の中で第5位に入っており、全抗がん剤の中では第1位でした。

効果・効能は?

リツキシマブは、「CD20抗原」という、リンパ球の一種である「ヒトB細胞」に発現する抗原に対抗する抗体薬となっています。
「CD20抗原」は特に悪性リンパ腫(B細胞性非ホジキンリンパ腫)の患者の9割以上に確認されることから、悪性リンパ腫の治療における重要なターゲットとなっています。

リツキシマブを投与すると、「CD20抗原」と結合するため、リンパ腫の細胞にダメージを与えることが可能であり、アメリカで行われた治験では悪性リンパ腫の約半数の患者において、腫瘍のサイズが半分以下にまで小さくなる効果が確認されました。

この結果を受け、リツキシマブは日本でも保険承認されるようになりました。

リツキシマブは単剤で使用されることもありますが、4つの抗がん剤を組み合わせた「CHOP療法」に加えられる形で投与されるというケースが多くなっており、これを「R-CHOP療法」といいます。

「R-CHOP療法」は、悪性リンパ腫の治療においては一般的に一次治療として活用されることが多くなっています。

「R-CHOP療法」とは?

「R-CHOP療法」とは、「ドキソルビシン」、「シクロホスファミド」、「プレドニゾロン」、「ビンクリスチン」の4つの抗がん剤にリツキシマブを加えた化学療法のことで、「プレドニゾロン」のみ内服薬であり、他の薬は全て点滴もしくは注射薬となっています。

この「R-CHOP療法」のように複数の抗がん剤を併用する治療法においては、さまざまな副作用が発生しやすくなっています。
その一つである、血液の成分が減少する骨髄抑制という副作用では、特に白血球の減少が発生しやすくなっています。

白血球の減少によって抵抗力が弱まりますので、感染症対策をしっかり行うことが重要となります。
その他には、吐き気や嘔吐の症状も「R-CHOP療法」ではよく発生し、人によっては末梢神経障害による手足のしびれが発生する場合もあります。

リツキシマブの副作用は?

リツキシマブの副作用としては、「インフュージョンリアクション」がもっとも特徴的であり、これはリツキシマブの投与中もしくは投与直後に発疹や悪寒、発熱等の症状が発生する、一種のアレルギー反応であると考えられています。

この「インフュージョンリアクション」が重篤な場合ではアナフィラキシーショックの状態になり、最悪の場合は死に至ることもあるため、リツキシマブの投与中や投与直後は慎重に観察を続けることが必要です。

その他の副作用としては、「腫瘍崩壊症候群」という薬によって腫瘍が急激に小さくなることで発生する副作用にも注意が必要です。

「腫瘍崩壊症候群」は低カルシウム血症や腎不全、高カリウム血症等が代表的となっており、特に血液中に大量の腫瘍細胞が存在していた患者に高確率で発生しますので注意しましょう。

さらに、リツキシマブの投与後に、肝炎ウイルスに感染している患者の場合では、その肝炎の症状が悪化したという事例も報告されています。

以前に肝炎等を発症した経験をお持ちの方は、治療後も継続して肝機能のチェックを受けるようにしましょう。

【まとめ】分子標的薬一覧

リツキシマブ(リツキサン)
>>世界でベストセラーの抗がん剤

トラスツズマブ(ハーセプチン)
>>HER2蛋白に特異的に結合する事で抗腫瘍効果を発揮

タミバロテン(アムノレイク)
>>耐性急性前骨髄球性白血病に用いられる経口剤

ダサチニブ(スプリセル)
>>複数の細胞増殖に関係する酵素の働きを阻害する

トレチノイン(ベサノイド)
>>人間の体内に入ると細胞の遺伝子核に入り込む

セツキシマブ(アービタックス)
>>転移性大腸がん、EGFRの発現を伴わない頭頸部がんの治療

ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ)
>>抗体薬物複合体の1つで、主に急性骨髄性白血病の治療に使用

ゲフィチニブ(イレッサ)
>>手術不能となってしまった非小細胞肺がんに対する治療薬

イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン)
>>骨髄増殖性疾患等に使われる分子標的薬

ソラフェニブ(ネクサバール)
>>腎がん・肝細胞がんの治療に用いられる分子標的薬

エルロチニブ(タルセバ)
>>膵臓がんもしくは、切除不能又は再発した非小細胞肺がんに用いる分子標的薬

ボルテゾミブ(ベルケイド)
>>形質細胞性骨髄腫や多発性骨髄腫の治療に使用される分子標的薬

イマチニブ(グリベック)
>>Bcr-Ablを標的とした分子標的治療薬

エベロリムス(アフィニトール)
>>免疫抑制剤としての使用及び、腎細胞がん治療薬としても有用な分子標的薬

ラパチニブ(タイケルブ)
>>手術不能乳がんまたは再発乳がんに対し使用される分子標的薬




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